社会福祉法人よるべ会 理事長
星野 泰啓
〝相手の身になって考える・行動する〞
即ち思いやりであり、やさしい社会
スーパーマーケットのレジで、支払いに手間取るお婆さんに、後で並ぶ強面の男性が『♬もしかして焦ってんのかお婆さん 誰も怒ってなんかいない あんたのペースでいいんダ 何も気にすんな!』とラップ調で声をかけるテレビCMを見たことないですか?
「スローレジ」といって英国やオランダから広がった様で、会計で時間を要する人達が気兼ねなく並んで買物が出来る様にとのメッセージだそうだ。店員とのやりとりが安心をつくり買物が楽しくなって高齢者の孤独感等の改善につながったりする。忙しくなくギスギスした社会でなく、お互いを尊重しあい交わり感のある気持ち良い世の中に近づこうと言っている。
私が喉のガンで声を失ったのが三年前、そして昨年七月末にシャント手術を受け、お陰さまで今は詰まりながらタドタドしくですが、発声が出来る様になりました。普段の生活場面では、聞きづらいながらも最後まで聞いて下さって、だいぶコミニュケーションがとれる様になりました。しかし、ペースが合わず面倒になって話の途中で終ろうとする方にも時々出会います。忙しい時や、気の短い方に「ちゃんと聞いて」とお願いするのは心苦しく諦めて黙るしかなく、十分な関係性がとれずに終わってしまって残念な想いが残ってしまいます。
是く言う私も、いつも忙しく動き、モタモタが我慢できずに端折って通り過ぎてしまい、じっくり相手すること無く失礼ばかりしてきた張本人で、反省するばかりです。
今更ながらではありますが、他人のペースを受け止め、心のゆとりを持って思いやりのある時間の使い方を身に付けたいと思う。〝相手の身になって考える・行動する〞即ち思いやりであり、やさしい社会であることも身に染みて感じました。
「みな人の 心まるくまん丸に
どこもかしこも まるくまん丸」 木喰上人
よるべ会広報誌「かわらばん」~ふわふわ~より転載