星野泰啓理事長より

社会福祉法人よるべ会 理事長
星野 泰啓

〝今、思うこと〞

 50歳の人が赤児の頃、まだ布おむつが普通だった     
『布オムツは母親の使い古しの浴衣を祖母が解いて作ってくれて、それはゴワゴワせずに赤児のお尻を柔らかく包んで気持ちが良い。オムツが濡れて不快で泣き出すと、母親は「おしっこかな?」と赤児の顔を覗きながら「すぐ気持ちよくなるよ、待っててネ」と呟きながら取り替えて「さあ気持ちいいネ」と快感と安心感を送っていた。それが今、紙オムツになって、洗濯は不要、そして濡れても不快にならない。とても楽になった。しかし、祖母や母親の気遣いは消え、母子の見つめ合う回数は減り、そこにあった快・不快・安心・不安等の〝感情〞の源が希薄になって赤児の成長に影響はないのか、とても気になる。』
       大分前に、こんな話をした。

 アナログ人間の私だが、最近の「生成AI(人工知能)」の急速な普及、その行き先に大きな不安を感じて少し調べてみた。生成AIによるメリットは◎様々な手間が省け〈業務省力化〉、◎人手が要らず〈効率化〉、◎ 人を選ばず〈非専門性〉、◎ 整理、分析、検索、創造が得られ生産性が向上し、経済成長が図れる。しかしデメリットとして◎偽情報、偽画像が安易に出来、その拡散で社会に悪影響や混乱が生じ、◎機械が人間に置き換わり、職を失う、◎悪意の使用により著作権問題や戦争兵器を生む、等々問題視されている。
 「技術革新」は新しい成長や社会を生み出す一方、その人間の人生や暮らしに取り返しようのない損傷につながってしまう。人間社会に役立つものとするか、脅威とするかの分岐点に立っていると科学者が言い、米国のイーロン・マスク氏は「人類史上初めて我々よりはるかに知的なものに向き合う。人類の存亡にかかわる危機だ」と言う。便利だ、楽だ、と何でも安易にAIに委ねることは、人間として無くしてはならない〝考えたり、学んだりする力〞を失い、やがて衰え、生きる能力を失い滅亡に向かう、と言っている。

 大切なものを、無くしっぱなしにしないで、取り戻す手立てを用意しながら進んでほしい。


よるべ会広報誌「かわらばん」2024年新春号「ふわふわ」より転載。

2023年12月27日